剱岳
2.999m


2010年8月2日〜4日
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前回剱岳に登ったのは、2005年8月初旬。浄土山、雄山、別山を経ての剱岳アタックだった。剣山荘に着いた時はかなりへばっていて、小屋の冷たい生水をガブガブ飲んだのが原因と思われる腹痛と下痢で、剱岳よりの下山時は足が前に進まない状態、その夜の剣沢小屋でとうとう夜中に診療所に厄介になった苦い経験から、今一度快適な剱岳登山を・・・・と、今年、満を侍して決行しました。日頃運動と言えば軽いウォーキングと、たまにプールで軽く泳ぐ位なので、五年の月日が体力の低下を進行させているのは明らか、充分な余裕を持ったスケジュールを組み、唯、剱岳のみを目標に計画しました。扇沢を8時ごろのトロリーバスに乗り込むのを目標に、午前二時半起床、空模様は予報通り小雨、このところ予報が前日になってころころ変わる見通しの効かない日が続き不安を胸に出発。首都高を抜け中央道をひた走り、長野道に辿りつき、扇沢駐車場に着いた時は、今まで曇が分厚く垂れ込めていた空はすっきり抜けるように快晴となりました。良かった〜!
 


8月2日7:00扇沢着
1433m

広い駐車場にはまだ車がまばら
駐車料は一日¥1000
3日預ける予定だから¥3000になる。
一番下の駅から遠い駐車場は無料らしい。
荷物を下ろして車を停めに行った。
ここと違って草ボウボウの所だった。
 
 

扇沢トロリーバス発着所
7:30

始発のトロリーバスに乗る事が出来たが、
バス4台とも満席で結局立って行く事になった。

6キロ余りで乗車時間16分程
だから立っていても平気!

 
往復乗車券

扇沢→(トロリーバス)→黒部ダム駅→(登山電車)→黒部平
→ケーブルカー→大観望→(トロリーバス)→室堂

往復8800円か!・・・・・



黒部ダム1470m 
7:45

ダムの放水をゆっくり眺める暇も無く、次のケーブルカー駅まで15分間歩きます。
 
 

黒部平1.828m
8:25

急傾斜のケーブルカーで800mを5分で登ってきました。
 
 

黒部平から見上げる大観峰と立山連峰

山腹に見える建物が大観峰(2.316m)のロープウェイ駅。間に支柱が一本もありません。 
  
 

移動距離1.7`、標高差488mを7分で登っていきます。
調度中央で下りとすれ違います。
 
 
大観峰からさらに全線トンネルの中を、日本で最高所(2,450m)を走るトロリーバスに乗り換え
標高差134m、3.7キロを10分間で走りぬけ・・・・・
 
 

室堂平2.450m
9:30  

さあ!これからが本番です。
 
 

立山連峰雄山の地下水がトンネル工事の際に湧出したらしいです。
冷たい美味しい水でした。
 
 

地獄谷

室堂平から一旦地獄谷まで階段を下ります。
あちらこちらから煙が噴出して硫黄の匂いが立ち込め、
有毒ガスなので速やかに通り過ぎるようにとの注意書きが・・・・
 
あの山を越えて、奥に見えている剱岳まで・・・・・
先は長いわ・・・・
 
 

 雷鳥沢キャンプ場

向こうに見えるのが立山連峰の雄山
5年前はあの上を歩いて剱岳まで行ったんだな〜!
 
 

分岐を過ぎて雷鳥沢の登りになり、後ろを振り返ると・・・・
おーーー!良い眺めだ〜!キャンプ場があんなに小さく見える。
大分登ってきた感じ・・・ 
  
 
   

足元には高山植物の群落が・・・ 
  
 
  
        
雷鳥沢を登っている時登山道で砂浴びしている雷鳥に出会いました。
 
  
    

残雪の立山連峰 
 
  

 トウヤクリンドウ

直ぐ上が剣御前小屋だ。

頑張ろう!
 
 
 

剣御前小舎着12:00

剣御前小舎の庭で
お湯を沸かして持ってきたおにぎりを食べる。

剱岳は雲の中だ。
これから今夜の宿の剣山荘まで下ります。
 
  

剣御前小舎から眺める剱岳

オーーーッ!
雲が晴れて剱岳が姿をあらわしました。
ヤッパ雄大だな〜!明日はあの頂上までいけるかな〜! 
 
 

チシマギキョウ
 
  

ミヤマリンドウ

ハクサンイチゲ 
 
 

アオノツガザクラ

雪渓
 

  

登山道から見下ろす剣沢

青い屋根と赤い屋根の建物は
前回来たときは無かったような・・・ 

剣沢キャンプ場

なんだか前回来た時と様子が違っている。
キャンプ場の直ぐ向こうが剣沢小屋だった
気がするけど、何にも無いな、
私が駆け込んだ診療所は何処に行ったの?

5年も経ってるんだから様子も変わるよね!
 
 
 

 何度も広い雪渓を渡って
やっと剣山荘が見えてきました。
 
 

剱岳だ〜!
山だけは5年前と同じ姿で其処にいました。

又、やってきましたよ〜!
 明日行くからね〜!

 
  

コイワカガミ
 
 
 


 小屋への分岐
 
 ここで、真っ直ぐ進めば一服剣の直下までの道、下に行けば剣山荘
 
 

剣山荘

2005年に泊まった剣山荘は、その冬に雪崩で倒壊してしまい、
新しく建てかえられたのだそうです。

早く到着した登山客が小屋の庭で思い思いに過ごしています。
この時間の一杯のビールがたまらないのだよ〜!
 
 
   
宿泊は全て二階になっていました。
ここは、二段になってしますが、畳の部屋もあるそうです。
新しくて気持ちがいいです。
廊下にリュックを置く棚が作られていて便利です。

5年前は確かお風呂があったような気がしましたが、新しくなって、シャワーになっていました。
女性の方はシャワーが3箇所有ってそれぞれカーテンで仕切られていました。
水量も豊富で気持ちの良いシャワーでした。

今日は登山客が多くて食事は80名程が3交代です。

シャワーの後、庭でビールを片手に至福の一時を過ごしていたら、若者の団体が80名ほど到着しました。
全員同じキャップを被っています。何処かで見た記憶のあるキャップだと一瞬思いました。
確か、警察官募集のポスターの写真で見た気が・・・・と思っていたら
「富山県警、警察学校です」と元気の良い声がしました。ヤッパリ!!
明朝同じコースを剱岳に登るんだ!若いから元気一杯だ!
 
 

8月3日

朝4:05剣山荘出発
まだ暗くてヘッドランプの明かりを頼りに
足元だけを見て歩く

 

一服剣4:35

サブザックに水と弁当だけを入れて
身軽なスタイルで歩くので
朝の冷気が気持ち良い

一服剣(いっぷくつるぎ)(2.618m)

一服するには調度良い高みで朝の明けるのを待ちます。
未来の警官たちも一緒に一服します。
 
 

日の出前の東の空
 
 自然の造形美
 
 

滝雲
 
山並みに覆いかぶさるように流れ落ちている雲を滝雲と呼ぶそうです。
 
 

前剣着(2.813m)5:40
 
 朝日も大分昇ってきました。
眼前に迫って来たのが剱岳か!これからが難所続きだ。
 
 
  

前剣より一服剣を見下ろす。
 
一服剣から一旦下って又ここまで登ってきました。
剣山荘と一服剣の小高い山があんなに下に見えます。
 
 

門6:00
急に前が進まなくなったと思ったら、ここは「門」と呼ばれる地図上に危険印のついた箇所。
岩と岩の間に鉄板の板が渡されているだけ、ほんの5〜6歩なんだけど・・・・
警察学校の引率の先生が「オーーイ!ここは去年事故があったから慎重に行くように」と
叫んだ。エーーーッ?そうなんだ!
 
 

渡り終えると鎖に添って僅かな足場を頼りに岩壁を進みます。
 
マジ顔が緊張してきた。 
 
 

平蔵の頭までも鎖場になると渋滞。
調度休憩になって渋滞も又良し・・・・
 
 ガスが出てきました。ヤバイかも・・・・


 

岩に取り付けられたプレート

ここが7番目の鎖場。数えてる余裕も無くここまで来ました。
 
 

急に前が進まなくなって又渋滞のようですが先が見えません。
雪の壁が冷たい風を運んできて一休みするのに気持ち良い!
 
 

カニノタテバイ
 
先に進まないと思ったらタテバイだった。
順番を待ってる人は、登ってる人を見上げて不安とやる気が交錯する。

私は二度目だからきっと大丈夫!

将来、この富山県警察学校の生徒の中から、何人かは山岳救助隊となって
遭難者を救助するんだろうな〜!

お互いに写真を撮り合いながらタテバイを登っているので
引率の先生に「コラッ!皆待ってるんだぞッ!」
と、一喝されてた生徒達を頼もしく見上げました。



 

カニノタテバイ
7:06
 
鎖がついてるけど、鎖に頼って登っては駄目らしい。
足で登るのだと、順番を待っている素人登山家が薀蓄を傾ける。
 
 なるほどね〜!
でも私、足が足りなくて腕で引き上げないと届かないの・・・・
 
 

 7:30
 
タテバイを上りきってホッと一息。
だけど、ガスが覆ってきて何にも見えなくなった。
頂上からの登山者が何にも見えないですよ〜と言って下りてきた。

ガスの中に奇妙な形の岩が見えます。
 
 

せっかく頂上まで行ってもこのガスで何にも見えないのだったら
どうし様かな〜?と思案していた矢先、急にガスが消えてきた感じ。
オッ!良い感じかも・・・・・

 
 

剱岳頂上
8:00
頂上に着いたら快晴になった。山の天気ってこんなに急激に変化する物なんだ。
頂上の社も5年前より新しくなっていた。
頂上は人工密度が高くてこの写真を撮るのが精一杯。
チョー人気の撮影スポットです。
 
 良かった〜!人生二度目の剱岳頂上バンザーーイ!
 
 

剱岳頂上より立山連峰を望む

一番高く聳えているのが雄山(3.015m)
 室堂も見えます。

  

立山連峰の左に目を転ずれば
正面に双子峰も美しい鹿島槍ヶ岳、その左にがっちりとした五竜岳
ずっと左に白馬岳まで見えます。
凄いな〜!
 
 

頂上にて

知らない登山者だけど、良い感じですよね!
 
 
 

立山連峰を望む

右に突き出ているのがお山頂上の祠、左に真砂岳〜別山〜別山乗越
向こうに北アルプスの槍ヶ岳が見えます。
 
 剣山荘で作ってもらったお弁当を食べる。
昨夜の夕食も美味しかったけど、弁当も又美味しいわ・・・・
いつもは弁当全部食べきれない私だけど・・・・ぺロッと完食!

紅茶を沸かして持ってきたレモンを浮かべた。
多めに砂糖を入れて濃い目のお茶を飲む。

美味いな〜!頂上での熱いお茶は又格別!
 
 9時頂上を後にする。
 
 

早月尾根への分岐

名残惜しいが頂上を後にして5分程下った所に早月尾根への分岐がある。
かなり長い下りらしい・・・・
 
 

イワツメクサ
 
 

シコタンソウ

上りがカニノタテバイ、下りはカニノヨコバイ
岩壁を鎖に添って僅かな足場を頼りに、手探りならぬ足探りで横に這うように進む。

 写真を写す余裕が無かったのでプレートだけで!
 
 

奇妙な石組みの岩

人工的かしら?自然かしら?
あの上まで石を運んでいけないよね!

 
 
 

 梯子

前を歩いている四人の女性のパーティーに屈強なガイドが付いて、
梯子での下り方や、
鎖場では腰につけたハーネスとカラビナの使い方を教えながら進む。
岩場では、右足はもうちょっと右、左足は5センチ下、
等と一々指示が飛ぶので時間がかかる。
後に続く私達は無防備で自分の五感のみを頼りに岩場と格闘する。

 
 

9:50

カニノヨコバイを過ぎてホッと一息後ろを振り返ると
カニノタテバイを登っているのが見える。
この時間になると渋滞も無くなっている。
 
 

前剣の門
10:20

ここは又急な登りだ
  
  

登るときも門が有ったから
門は両方に有るのかな?

エゾシオガマ 
 
 
 

岩場に咲くイワギキョウ
 
 
 

ハクサンフウロ
 
 
 

クルマユリ

ミヤマリンドウ

チングルマ 
 

 

ダイモンジソウ
 
 
 

ハクサンフウロ

ミヤマトリカブト
 
 
 

11:30

剣山荘が近づいてきました。
 
 

剣山荘着
11:50

無事帰ってきました。 

 

二階の廊下に置いたままのザックを取り、うどんを注文した。
新しくなった剣山荘の食堂は清潔感に溢れ明るくて気持ちが良い。
壁には「剱岳 点の記」の映画の撮影のスタッフのサイン入り色紙が飾られている。
 
 はっきり言ってうどんは麺が溶けそうでチョー不味かった。
カレーにすれば良かった。
今回の山行の唯一の反省点だ。 
 
 昼食後、今夜の宿泊予定の剣御前小舎まで出発。
出来れば、温泉のある室堂まで戻りたいのだけれど・・・・
 
 

分岐

剣山荘を出てすぐの所に真っ直ぐ行けば剣沢、上に上れば昨日通ってきた道だ。
 
 空模様が妖しくなってきた。急ごう・・・
 
 来た時と同じように何度か雪渓を渡り時々雨らしいものが落ちてきて
この分だとヤッパリ御前小舎泊まりになるかなと、思いながら歩き、

14:25御前小舎着
予約を入れていたけど、ヤッパリ室堂まで行く事にした。
 雨はそれまで待ってくれるかな?
 
 
 

雷鳥坂を下りている時、空もどんよりとしてきて、居ましたよ雷鳥が、
一羽だけでしたが、ヤッパリどんよりとした景色が雷鳥には似合いますね。
 
 
 

雨がぽつぽつ来たので傘を出してカッパは着ないで歩きました。
カッパって蒸れて暑いし雨に濡れたと同じほど汗で濡れるんですよね。
昔のカッパだからなのかな?
最近のはハイテク技術の繊維を使っているのでそんなことは無いのかもしれないけど。
 
 
 

チングルマ

 ?
途中雨が激しくなってきて、ただひたすら色とりどりのテントの張られたキャンプ場を目指して下る。
今夜は何処に泊まろうかと考えながら・・・・

最後の雪渓で滑って尻餅をついてしまった。傘とストックを持っているので手でカバー出来なかった。
でも、自前のクッションでたいした事にはならなかったのは幸い!?
歩きながら二軒の宿が目に入ってきてどっちにするか最後まで迷ったけど、一番最初にあって
予約無しでも宿泊可能と書いてあったので飛び込んだ。

そのヒュッテは山の上から見ていた時はかっ良く見えたのに近くに行って見るとかなり古い。
大部屋の雑魚寝部屋になって、女性は私一人みたいだ。
オッサンばっかりじゃあーーん。

部屋は広いけど壁も天井も廃屋のようにくたびれている。
室堂まで来てこんな汚い部屋?山小屋の方がもっと綺麗だよ・・・・
と心の中でふてくされていた。
頼みの温泉は、シャワーは一つしかなく蛇口が4つか5つ有った。

お湯はさすがに気持ちの良いお湯だった。
このために尻餅つきながらも頑張って下りてきたのだから・・・・
夕食になって食堂に行きビックリするほど大勢の客が居て
混んでいたんだと実感。
 
 どこかのオッサンの無呼吸症候群危険信号を高らかに響かせる大鼾に悩まされながらも
朝方になって熟睡・・・・
 

 
 

8月4日

今日も快晴。室堂の朝は気持ちが良い。
扇沢の駐車場まで戻れば愛車が待っていて、今夜は蓼科の温泉で一泊予定(ルンルン)

宿から室堂ターミナルまで歩く途中の地獄谷は
道の水溜りまでも32度くらいのぬるいお湯が湧き出しています。
 
 
 

地獄谷

あちこちから温泉の煙が・・・・
有毒なので速やかに通過しました。
 
 

ミヤマアキノキリンソウ  
 
 

室堂より最後の剱岳を望む

手前の山に隠れてちょっとしか見れないけど
私の憧れの「剱岳」また来れるのかな・・・・
 
 
 

 アザミ
 
 

ミヤマハハコ
 
 
 
? 
 
 

又居ました雷鳥が
 
 草むらに隠れてつがいで散歩していました。
きっと近くに子供の雷鳥が居るんですよね・・・
 
 
 
 

9:30

澄み切った空に山小屋に荷物を運ぶヘリコプターが 

 



キジムシロ

 

室堂から大観峰までのトンネルを走るトロリーバス

環境保護の為に全て電気です。
 
 

8:15分発のトロリーバスに乗車
帰りは空いています。

バスの車体の「立山黒部貫光」の文字が
「黒部観光」じゃ無いのが言いえて妙だよね!
 
 黒部を貫く光か・・・・ 
 
 

大観峰から見下ろす黒部湖

正面に北アルプスの後立山連峰が見えます。
 
 

自然景観保護と雪害防止のため全線地下を走る、
日本で唯一のケーブルカーです。
最大勾配31度
 
 

一番前に乗りました。
こんなトンネルの中を走ってるんだ。
 
  
 
対向車とのすれ違い
 
 

終点黒部湖駅着
 
 

黒部ダムの放水による虹
 
 

二箇所から放水しています。
 
 
5年前の体調不良の剱岳登山以来、今一度剱岳にリベンジしたいと思い続け、今年やっと念願かなって再挑戦の運びとなりました。5つも年を重ねているので体力的にどうかな?と一抹の不安も有りましたが、何とか登頂出来ました。しかし、カニノタテバイで自分の体が以前よりはるかに重く感じたのは事実です。もっと楽に登れたはずでしたから・・・・・・・・しかし、剱岳は眺めるだけでも感動する山、これから先、他の山から剱岳を眺めた時に、この感動を鮮明に思い出すことでしょう。



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